重化学工業化進展と商社斜陽論

重化学工業化進展と商社斜陽論

危機意識に基づく企業革新で飛躍的に発展する商社

1961年、雑誌『エコノミスト』に、商社の体質の脆弱さを指摘した「商社斜陽論」が掲載された。

各社は企業体質を見直し、長期戦略の策定に努めた。

注目を集めた「商社斜陽論」

重化学工業化の急速な進展によって、高度経済成長期における日本経済はさまざまな新商品を生み出し、商社の取扱品目も「ラーメンからミサイルまで」と言われるように多様化していく。このような産業資本の発達は商社の総合化・大型化を促進させたが、一方で、商社斜陽論がこの時期に話題となった。みそのうひとし1961年、東洋大学の御園生等教授は『エコノミスト』に「総合商社は斜陽であるか」と題した論文を発表、学者やエコノミストたちの注目を集めた。論文の主旨は、高度

成長で産業資本が巨大化するにつれ、メーカーが自ら販売セクションを強化し、それによって問屋の排除が進むため、商社は斜陽化・弱体化を辿り、ついには空中分解する――というものだった。

その他の主な論拠としては、次のような内容が挙げられた。

①総合化によって商社は人件費の増大、組織体制の複雑化、経営管理における困難など、さまざまな負の要因を生み出し、それが利益の低下を招くため商社の総合化は難しい。

②重化学工業製品の取り扱いなど、商社の商品知識ではカバーできない分野が増えるため、メーカーによる直接貿易が増大して商社の仲介余地がなくなる。

③新産業の創出、また、それに伴う新商品の登場とともにメーカーは流通支配力を強め、商社は単なる口銭商売にすぎない立場となる。

④交通・通信機関の拡充によって、国内・国外の市場における情報交換が容易となり、メーカーに対する商社の情報提供機能の必要性が低下する。

⑤高度成長によって多くの企業が潤沢な資金を得て、商社の金をあてにしないですむ状況になってきている。

経営の多角化で飛躍的な発展

しかし、事態はまったく違った展開を示し、商社は斜陽どころか飛躍的な発展を遂げた。鉄鋼・化学品などの素材産業が生産拡大を目的に多額の設備投資をしている中で、商社はこれらメーカーが必要とする原材料の確保に注力し、世界各国に駐在員を派遣してマーケットの拡充に取り組んだ。

ほかにもスーパー業、レジャー産業、食品・穀物等のサイロ業への進出、鉄鋼・木材等の流通加工センター設立など、経営の多角化を強力に押し進めた。

こうした商社の躍進の要因には、「商社斜陽論」を契機に各社が企業体質の徹底的な見直しや、長期戦略の策定に努めたことなどが挙げられる。

戦後09年を経て、現在もなお商社の重要性が変わらず、依然として日本経済を勢いづかせるために欠かせない役割を担っているのは、高度成長期の一番重要な時期に、危機意識に基づく企業革新を積極的に推進したことが大きいだろう。

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